カテゴリ: 指圧治療

当会で経絡指圧の研鑽を積まれている方です。愛知県から上京されて神奈川の鍼灸学校で免許を取得し、その後はクリニックで更なる研鑽を積まれています。当会のセミナーでは既に中級まで進まれていて、積極的に経絡指圧の技術を学ばれています。今回はその受川さんに経絡指圧について書いて頂きました。



ここは10年以上お世話になっている治療院です。


久しぶりに治療していただきました。

私の場合は仰臥位から横臥位もう一度仰臥位の施術でした。

先生は触れ方や漸増圧が柔らかく、スムーズでどんな症状の方でも無理なく受け入れるほどに感じました。

これまでは刺激量に関しても硬いコリをほぐせばよい。そして攻撃するような施術、粗悪な施術、押し付けの施術など、今まで経験してきました。

しかし先生の施術は私の状態を見極め、力任せではなく自然な圧力が加えられるので、受け手として安心できますし、非常に受けていて楽です。


受川と石井

また親指や手掌の他に前腕や肘、膝を用いて施術されますが、どこの部位を使っても同じような質の刺激になっており、それはどこの部位を使っても細かく圧力のコントロールが出来ると同じ事でもあると思います。

私が受けてきたほとんど施術者は指なら指で押されている感覚、肘なら肘で押されている感覚がありますが先生にはありませんでした。

それだけ腕力で押していないということで受け手はリラックスしやすいですし、人体に与える負担も少なく済むと考え、結果良い反応になりやすいと思います。

身体が軽くなり気分も爽快です。

ありがとうございました。




愛知県・岡崎 受川知矢
受川



皆さんは指圧やマッサージ、今の施術の仕事が嫌になった時はありませんか。実は何を隠そう、私はあるんです。最初は20代の時です。経絡指圧を覚えて4~5年の頃でした。言葉を変えればスランプとでも言ったらいいんでしょうか。医王会で指圧を習得し施術をしていたのですが、暫らくして思うような結果が出なくなったのです。

●思うように行かないジレンマ…
最初はあまり気にならなかったのですが、更に思うように行かなくなって「何とかせねば…」と思いました。自分として出来る改善を試みたのですが、でもあまり変わらないのです。ある時は基本が大事と思って、押圧を丁寧に行うようにしました。でも変化はありませんでした。また腹部指圧を工夫すればと思い、お腹の指圧の方法をあれこれ工夫をしました。しかし大きな変化はありませんでした。また外部の技術を取り入れたら良いかもと思って、整体や背骨の矯正なども覚えてみました。しかしこれも変化なしです。どうしてもハードルが越えられません。もしかして指圧の一圧しに何か自分の知らない特別な「極意」のようなものがあって、それを探求すればハードルが越えられるかもと思いました。しかし押して引くだけの単純な指圧操作の中に特別な「極意」があるとは思えませんでした。

●疑心暗鬼の塊りになる…
他の施術師の本を読むと、華々しく「治癒させた」との文章が目に入り、それが気になって仕方がありませんでした。その時です。「ダメだなオレは。もうやめてしまおうか…」と思ったのは…。もうそうなると指圧をしていても気の抜けた状態で、どこか上の空なんですね。惰性です。ちっとも面白くない。患者さんは「ラクになったよ」と言ってくれるのですが、それでも「どうせ社交辞令だろう」と変にひねくれていました。どうしようもないですよね。24才くらいの頃です。

●「勝手にしろ」と投げやりに…
ではその後スランプから脱出できたのかと言うと、結局「できません」でした。どうやっても分からないわけですから、手のつけようがないのです。ほったらかしです。こんな状態が5年から10年近くありました。いっその事、指圧を辞めて整体とかカイロに転向しようかと思った事もあります。他の人が華々しく活躍しているのを見て羨ましかったんですね。でも辞める勇気もなく、ズルズル来てしまったわけです。「勝手にしろ…」ってなもんです。

●ひらめきが頭をよぎる…
ところが続けているうちに「待てよ。(患者さんの)苦痛が取れないのは、自分のせいだけじゃないかも知れない」と、こう感じるようになって来たんですよ。それは同じ症状なのにピタッと取れる場合もあれば、ウジウジと取れない場合があって、そんなケースに度々遭遇したからです。「治らないのは、患者さん側にも原因があるのでは…」とこう思ったんです。そこで注意深く相手を観察すると、ある傾向と言うかパターンに気づきました。こちらがいくら頑張っても、相手が治り難い状態、そのパターンがある。だからそのパターンの人が来た時は、なかなか治らなくても「当たり前」なんだなと気づきました。そしてそれが診断であり、それを見極めて行うのが医療的な指圧なのだと後年知りました。

私の若い時の思い出です。
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 ここに来てやっとワクチン接種が本格化してきました。皆さんの中にも既に接種券が送られて来た方も居るかも知れませんね。政府もワクチン接種がコロナ禍の切り札と思っているようで、ワクチンを「打って打って、打ちまくれ」の意気込みのようです。ただウィルスの方も、変異をしながらより強力なウィルスへと変化しているようで気が抜けません。現在のワクチンに効果がなければ、それ用のワクチンを開発して更に接種するのだそうです。そうなるともうイタチごっこですね。

●免疫のカナメは小腸と神経…
 さて免疫には生まれた時からある「自然免疫」があります。免疫細胞と呼ばれるようですが、これが外敵からまず身を守ります。この免疫細胞は小腸で造られるので、小腸は免疫機能の70%を担っていると言われます。そしてあとの30%は自律神経の働きが影響します。となると小腸に良い食べ物を摂る事が、免疫力アップには大切なのではと思いますよね。しかしよく考えてみましょう。

●まず神経系統を整えるのが先
 確かに良い食べ物を食べて、免疫細胞をたくさん作るのが良しとしても、それは小腸が健全に動いていればの話です。自動車に例えれば、健全なエンジンを搭載しても、それを制御する電気系統がキチンと作動していなければ、いかに高品質の燃料を供給しても十分に働いてはくれません。それと同じで小腸がキチンと働くためには、その神経系統の生活機能がキチンと働いていないとダメだと言う事になります。
 神経系統は自律神経の事です。ですから「自律神経が30%」ではなくて、ほぼ100%免疫には自律神経が関与していると考えて良さそうです。

●「明るく、朗らか」に過ごす…
 ではどうすれば自律神経を健全な状態に保てるか…です。結論からいうと「明るく、朗らか、あっけらかん」と過ごすと良いのです。「何だ。バカにしてる」と思ったかも知れませんが、これは事実です。逆に考えると解ります。私たちがコロナ禍で感じる「イライラ、不安、悲しみ」などの感情は副交感神経の働きを低下させてしまうのです。すると小腸の働きが抑えられ、同時に免疫細胞の働きも低下してしまうとの事です。つまり戦闘力が低下します。

●【明るく、朗らか…」は自律神経を整える…
 この自律神経(この場合は副交感神経)はものの声に応ずるように変化します。マイナスの感情を持てば、すぐさま働きが混乱し低下してしまいます。皆さんの中で、このコロナ禍で何となく体調が悪い、変だと感じている人は居ませんか。居るとすれば自律神経、つまり副交感神経の働きが鈍っているからかも知れません。この予防対策が「明るく、朗らか、あっけらかん」なのです。つまり食べる前に気持ちを明るくすると言うわけです。フリでも良いのです。「ああ、楽し」と言って食べるのと、「いやだな」と言って食べるのとでは免疫力は違ってくると言うわけですね。

 まあダマされたと思ってやってみて下さい。


勘ちゃん
 

★免疫アップに貢献できる…?
 コロナウィルスの第三波が日本全土を襲っています。その規模も大きく、東京では連日500人以上の感染者が出ています。開発中のワクチンもやっと承認段階に来たようですが、一般市民に薬が回って来るまで更に一年くらい掛ると言われています。まだまだコロナウィルスとの戦いは続くようです。しかしただ手をこまねいて見ていても不安なだけです。
 ここで私たち指圧師も何か社会に協力できないか考えてみました。結論から言って、指圧は免疫力アップに十分貢献できると考えています。

★免疫システムとは…
 免疫には生まれながらに持っている「自然免疫」と、ワクチンによって獲得される「獲得免疫」の2種類がある事はよく知られた事です。コロナウィルスに感染しても無症状なのは自然免疫が強いためですが、指圧で強化できるのはこの「自然免疫」の方です。自然免疫では「免疫細胞」を産生する「腸」と、「免疫細胞」を産生・活動させる「自律神経」の働きがポイントです。
 免疫細胞の8割が腸で作られ、それゆえ植物繊維や納豆やヨーグルトのような発酵食品を摂れと勧められます。しかしそれらが有効に働くためには健康な腸の働きが必要です。
 そして免疫が「自律神経」と深いかかわりがある理由は、体内でウィルスを殲滅する「免疫細胞」の主役がリンパ球であり、そのリンパ球の産生や働きが「副交感神経」の働きに依存しているからです。更にもう一歩言えば、腸の働きさえも「副交感神経」に支配されていますから、結局ターゲットは「副交感神経」を整えれば、免疫力アップに寄与できる事になります。

★指圧における免疫アップのポイントは…
まとめると自然免疫強化のポイントは
 ①腸を健全にすること(働きを維持する)。
 ②副交感神経の働きを強くすること(弱めない)。

この二点に絞られます。これを指圧で強化できれば、免疫力の維持強化に寄与できる事になります。
 具体的には、①については「経絡」を整える事で、また②については指圧の「全身指圧」の技術で十分対処できると思います。施術としては排泄・消化吸収の大腸経、小腸経、さらに調節機能を司る腎・膀胱経の指圧を全身指圧に組み入れて、時間をかけてゆったりと行えば、概ね①と②の目的は達成できると思います。

皆さんもまず家族とか、身近な人間から試みてみては如何でしょうか。

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先日久しぶりに増永先生の著書で、通称赤本と称される「指圧」を何気なく読んでいたら、『昔の養生法は精神修養と一つになって考えられていた…』との記述を発見しました。そして記述は『戦後は欧米人なみの体格になりましたが、体力・健康面では欠陥だらけ…』と続き、更に『その反省として根性だ、禅だなどと精神面の手探りが始まりました』とありました。

●メンタルと精神修養
確かに『文明が進むとストレスが強くなって、ノイローゼや心因性の疾患が増える…』との記述を読むまでもなく、現代の病気やトラブルはストレスが大きく関わっている事は今は常識です。しかし心因性なら「精神療法」があるではないかと言っても、そのベースは西洋医学的な精神分析学ですから、その人間を丸ごと理解するには味気ない気もします。先生も『人間の精神の事を忘れた医学が、現代病のノイローゼや老人問題などに積極的な手段を持たない…』と皮肉っています。そこで日本古来の精神修養の必要性を説いているわけです。「精神修養」などと言えば懐古趣味の古臭い道徳観の押しつけのように聞こえますが、言い換えれば心のトレーニングの事でしょう。

●現代人は神経過敏…
人間は心がストレスで揺さぶられると、その影響は神経を介して各臓器に伝わる事は、私たちの日常でもしばし経験する事ですが、しかし考えてみるとストレスをよく感じると言うのは、言い換えると社会的適応性が狭い状態とも言えます。世間が悪いのではなく、自分の適応性が低いがためにカリカリする必要のない事に苛立ち、気にする必要のない些細なことにも過敏になる。そしてその都度、神経を異常興奮させ体に悪影響を及ぼしている。このような事は私たちは日常的に経験している事です。

つまり刺激に惑わされず揺さぶられない「心」と「観念」を保持していれば、ストレスは大分和らぐ事を意味します。精神の訓練を「悟り」ではなく、ストレスに対する心の統御法だと考えれば、健康面で大いに意味あるものだと言えます。これをメンタルトレーニングと言わず、精神修養と言ったのは生活全般を通して行う訓練だからでしょうね。


瞑想

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